子宮筋腫

子宮に発生する良性腫瘍で、超音波・MRI検査で精査を外来にて行います。子宮筋腫の発生位置、過多月経・貧血の有無、妊娠の希望など患者さんの状態に応じて手術療法を選択することがあります。子宮温存の場合には子宮鏡手術、もしくは腹腔鏡下子宮筋腫核出術を行います。また状況により腹腔鏡下子宮全摘術、もしくはロボット子宮全摘術を行います。腹腔鏡・ロボット手術は全身麻酔で行い、入院期間は5日間となります。子宮筋腫の大きさによって術前にホルモン療法を行います。

子宮内膜症

骨盤内の癒着により月経困難症、慢性骨盤通、不妊症を引き起こす近年、生殖年齢婦人の10人に1人が罹患する疾患とされています。外来にて超音波やMRIにて正確に診断を行います。癒着だけでなく、卵巣チョコレート嚢胞や子宮腺筋症を伴う場合もあります。卵巣チョコレート嚢胞は癌化することも報告され注意が必要です。子宮内膜症は慢性疾患であり長期にわたる治療と管理を必要とします。低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬や黄体ホルモン剤を投与するホルモン療法がベースになりますが、妊娠の相談や不妊治療の開始、状況により腹腔鏡もしくはロボット手術を行います。大切なことは術後もホルモン療法が必要で、閉経期まで外来で治療を行います。

卵巣嚢腫

代表的なものに卵巣皮様囊腫があり、毛髪や脂肪、歯牙を含むことがあります。MRIで腫瘍の分布(両側性のことがあります)、悪性腫瘍の鑑別を行います。手術は腹腔鏡手術を全身麻酔下で行います。卵巣腫瘍だけを摘出し、卵巣を温存することもできます。入院期間は5日間になります。

骨盤臓器脱

高齢者のQOLを損なう、骨盤臓器脱に対する手術療法は増加しています。2014年には腹腔鏡下仙骨腟メッシュ固定術(LSC)が保険収載されました。膣内に挿入するペッサリーでは帯下の増加などQOLを損なうこともあります。メッシュを腹腔鏡で挿入することにより、排尿障害や排便困難などが改善しQOLが向上します。術前に十分に全身検査を行って全身麻酔で腹腔鏡手術を行います。腹腔鏡手術であり、ほかの手術と同様に術後3日目には退院可能です。

子宮悪性腫瘍

当院は地域がん診療連携拠点病院であり、婦人科腫瘍専門医が外来で診断の上、病理学と放射線診断科と協議の上で治療方針を決定いたします。手術は子宮頸がんと子宮体癌のそれぞれの病期、ステージに応じて開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット手術をそのメリット、デメリットを十分に説明した上で選択します。術後は抗がん剤治療、放射線治療、免疫療法など集学的な追加治療を行うことがあります。腹腔鏡・ロボット手術では経過により入院期間は5日間になります。

卵巣悪性腫瘍

卵巣悪性腫瘍は術前に病理組織検査ができない疾患です。よって術前にCTやMRI,PET-CT検査、ドップラー超音波検査など十分に術前検査をした上で手術療法と抗がん剤治療、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などを選択し治療を行います。