前教授メッセージ

前教授
塩田 充 しおた みつる

私が卒業した1981年はまさに開腹手術が中心の時代でした。13年間子宮がんに対する手術を中心に研鑽をつみました。1980年代後半そこに現れたのが腹腔鏡手術でした。創が小さく痛みが少ない、社会的復帰が早いとされ急速な進歩を見せます。しかし、1992年米国学会JCOGはそれを「進歩かまやかしか?」と称したのでした。

私が腹腔鏡手術を始めたのは1994年です。まさにわが国での黎明期です。わが国ではまだ診断的腹腔鏡が中心の時代でした。1995年4月米国アトランタにあるNorthside Hospitalに短期留学、すでに著名であったNezat兄弟の指導を受けました。帰国後本格的に腹腔鏡手術を開始今に至っています。

最初は従来の開腹手術をいかに腹腔鏡手術に置き換えるかが問題でした。また時間が掛かっておりましたが、医療機器の進歩もあり現在では遜色のない時間で、出血量も少なくて済みます。

手術を科学的に分析する。これが私のモットーです。

腹腔鏡手術を始めて26年、8,000例を超える手術症例を経験しました。その手術時間や手術出血量などの手術成績はすべてデータベース化しております。そのデータを活用することにより、適応の決定や偶発症、合併法の軽減に役立てています。

すでに創が小さいだけでは意味がありません。手術の質が問われる時代に入っていると思います。

今後も患者様に安全で確実な、質の高い大学附属病院らしい医療を提供してまいる所存です。何卒よろしくお願いいたします。